福林(ふくりん)の打ち直し

いつもありがとうございます。
三味線結(ゆい)です。

最近は梅雨を通り越して夏!?というくらい暑い日が続いていますね。
この時期に意外と多い三味線のトラブルが、福林(ふくりん)外れです。

糸巻と一緒に外れてしまった福林

福林とは糸巻金具のことで、経年劣化でポロッと外れてしまうこともあれば、糸巻を抜くときに一緒に外れてしまうこともあります。
この時期に福林外れが多くなるのは、湿度で糸巻が少し膨張して福林が食い込んでしまうからとか…?

このとき「また入れて接着剤でくっつければいいや」と考えてご自身で直そうと考える方がたまにいらっしゃるのですが、これは完全にNG。
糸巻、福林まわりは三味線の中でも特に緻密で繊細な部分だからです。

このときに必要な作業は、
①角度を合わせてきちんと福林をくっつける
②糸巻の調整
です。

皆さんご存知の通り3本の糸巻はそれぞれ角度が付いて三味線に仕込まれていますが、これは福林に角度が付いているためです。

糸巻は、仕込んだ福林の角度に合わせてすげていきます

きちんと角度を合わせて福林を付け直さないと、糸巻が福林の内側に変に当たって止まりが悪くなる他、糸巻の摩耗が早くなり寿命が短くなってしまいます。

じゃあきちんと福林を付けることができればそれでOKかというとそうではありません。
熟練した職人が作業をしても元通りにはならないので、今度は付け直した福林に対して糸巻の調整が必要になります。

今お使いになっている糸巻を大切に長く使うためにも、福林が外れてしまったら信頼できる三味線屋さんに依頼してくださいね。

追伸
福林が浮いていたり外れたりしていなければ、今付いているものを外してまで付け直す必要はありません。
糸巻を締めたときに違和感が出てきたときに先生や三味線屋さんに相談されるとよいと思います。

福林が浮いている状態