仮継(かりつぎ)のお話

いつもありがとうございます。
三味線 結(ゆい)です。

今回は仮継(かりつぎ)のお話です。
仮継って何となく知ってるけど実際よくわからない…という方のための記事です。

三味線の継手やホゾを保護するという重要な役割を持つ仮継ですが、
普段使われることが少ないので紛失されることが多い不運な子です。

(使われなさすぎて、自分探しの旅に出たという噂もあるとかないとか)

実際、
「見たことはあるけどどこいったかなあ…」という方は多いのではないかと思います。

ちなみに新品で三味線を購入するときはほぼ確実にセットでついているものですが、
花梨の三味線にはついてないことの方が多いです。
これはコストを落とすためでもあるんですね。

※結では、花梨三味線には仮継はつきません。紅木の三味線にはつきます。
※中古の三味線の場合は仮継は元々ついていればお渡ししますが、なければ別途お造りするか選んで頂いています。

ではこの仮継をどういうときに使うかというと、
三味線を三つ折りケースにしまうときや、三味線を分解して発送するときです。
ホゾや継手は繊細な箇所ですから、三味線を送るときに仮継を使って保護していると安心ですね。

仮継はその三味線のかたちや継手のミゾに合わせて造られているいわばオーダーメイドになるため、
他の三味線の仮継ではきちんとはまりません。
無理にはめるのは厳禁です。
仮継が抜けなくなったり、最悪割れてしまう可能性があります。

上棹と上棹用の仮継。棹側と仮継側の継手のミゾがそれぞれ凹凸になっています。
仮継をはめるときはミゾを合わせてスライドさせるようにはめましょう。
仮継をバラバラにした状態。それぞれミゾの入り方が違います。
書かれている漢数字は、
一が上棹、
二が中棹の上継手側、
三が中棹の下継手側、
何も書いていないのが下棹用です。
鉛筆の印ではなく刀キズがついている場合もあります。

いかがでしたか?
仮継は重要な役割を担う上に、造るには三味線をお預りしてからの完全オーダーメイドとなりますので
費用もそれなりにかかってきます。
なくさないように大切に保管してくださいね。