糸巻は消耗品?

いつもありがとうございます。
三味線 結(ゆい)です。

タイトルの通り、


「糸巻は消耗品ですか?」
「今使っている糸巻はいつか使えなくなりますか?」

というご質問にお答えします。

結論から申し上げますと、糸巻は消耗品です。

糸巻は、福林(ふくりん) が仕込まれている角度と口径の大きさに合わせて、
糸巻1本に対して2つの福林にピタッと当たって止まるように仕込まれています。

※福林とは、糸巻金具のことです

ですので、使っていくうちに福林に当たっている部分が摩耗して、やがてすべりやすくなっていきます。

ではすべりやすくなってきたら新品の糸巻とすぐに交換しないといけないのかと言われるとそうではなく、
旋盤という機械で糸巻を削り出し、改めて仕込み直すとまた止まりが良くなります。

鉛筆削りをイメージしていただくと分かりやすいでしょうか?

この糸巻を改めて仕込み直すメンテナンスを糸巻調整といいます。

削り出すと少しだけ糸巻が内側の方に入り込むかたちになりますので、
手をかけるところが短くなります。
この繰り返しで糸巻はだんだんと短くなり、いずれは新しい糸巻と交換することになります。

以上が、糸巻は消耗品という理由です。

糸巻は、新しいものを購入して付け替えればいいというものではなく、
その三味線に仕込まれている福林に合わせて糸巻を仕込みますので、そのときは三味線ごとお預りする必要があります。

ここからは、豆知識です。

■糸巻の具合のチェックの仕方

糸をゆるめて、糸巻を三味線にさしたまま糸巻を軽く上下に動かしてみましょう。

このときに福林の小さい方で糸巻がカタカタ動くようでしたら、
演奏中に糸巻がキュルっと回ってしまうようになるサインです。

また、福林の大きい方でカタカタ動くようでしたら、
糸巻の先端だけで止まっている状態です。
糸巻の先端に負担がかかり過ぎているということなので、糸巻が折れる可能性があります。

あとは、糸を外した状態で、軽く、ゆっくりと糸巻を回してみましょう。

このときにスムーズに糸巻が回れば問題ありません。
スムーズに回るところと回らないところがあれば、糸巻が摩耗して歪んでいる可能性があります。
これも糸巻がすべりやすくなっている要因になります。

■応急処置の仕方

福林が当たる箇所を、紙ヤスリで撫でてみましょう。

ポイントは2つです。

1.左手で糸巻を持ち長手方向へ軽く撫で、糸巻を回し角度を変えながら紙ヤスリを全面に当てる
2.一気にやらない。紙ヤスリでなで、糸巻の仕込み具合を確かめ、必要ならもう1度やる、を繰り返す

やりすぎると糸巻の先の方が歪んでしまったり楕円形になってしまうなどして、かえって状態が悪くなります。
あくまで自己責任で試してください。

あとは、福林の内側を綿棒で掃除してみましょう。
これだけでも糸巻の食いつき方が少し変わります。

福林の内側はとても重要です。

糸巻の止まりが悪くなってきたからといって、松ヤニ等を福林の内側に塗るということは絶対にやめてください。
糸巻の先端が歪む原因にもなり、松ヤニが福林から取れなくなる可能性があります。
そうなると、正常な状態に戻すために福林ごと交換しないといけなくなり、糸巻調整の何倍も費用がかかってきます。

これらの方法はあくまで応急処置なので根本的な解決にはなりません。
ちょっとおかしいかも?と思われたら、専門の職人さんに調整に出されることをおすすめします。


さて、いかがでしたでしょうか?

今回は、

・糸巻は消耗品ということ
・適時に糸巻調整が必要なこと
・応急処置の仕方

の3点について書かせていただきました。

ご参考にしていただければ幸いです。